プロトンポンプ阻害薬とは

2023年1月4日

プロトンポンプ阻害薬とは

プロトンポンプ阻害薬イメージ

プロトンポンプ阻害薬は胃酸の分泌を抑える薬で、H2ブロッカーと比べて強力な酸抑制効果があります。

「Proton pump inhibitor(略称:PPI)」
プロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌抑制薬と呼ばれる種類の薬で、酸抑制効果に優れており、胃腸障害全般に処方される薬です。

胃の分泌線にある壁細胞には、胃酸を分泌するプロトンポンプという部分があります。
プロトンポンプ阻害薬は、このプロトンポンプが胃酸を分泌する働きを妨げる作用をし、胃酸の分泌過多をコントロールして、胃のむかつきや不快感といった症状を抑えます。

プロトンポンプ阻害薬の作用機序

胃酸分泌抑制作用がある薬剤にH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)がありますが、プロトンポンプ阻害薬は、H2ブロッカーよりも強力な胃酸分泌抑制作用があり、効き目も長持ちします。

H2ブロッカーとの関係

プロトンポンプ阻害薬の適応疾患。

プロトンポンプ阻害薬は、以下の疾患の治療に用いられます。

上記の治療に使われるプロトンポンプ阻害薬として、効果に個人差がなく、副作用が少ないことから、ネキシウムが第一選択薬とされる場合が多くなっています。

プロトンポンプ阻害薬「ネキシウム」の効果について

プロトンポンプ阻害薬の使用にあたって、病院では「保険適用期間は8週間まで」という決まりがあります。

プロトンポンプ阻害薬が健康保険で処方されるのは、8週間分までと決まっており、それ以降はH2ブロッカーを使用して、病状の経過を診つつ、治療にあたります。

プロトンポンプ阻害薬の作用機序

胃酸を分泌するプロトンポンプに直接作用して、胃酸過多を防ぎます。

プロトンポンプとは、胃粘膜の壁細胞にある分子の事で、アセチルコリン、ヒスタミン、ガストリンといったホルモンから信号を受け取って、胃酸を分泌する働きをします。
プロトンポンプ阻害薬は、この信号をブロックすることで胃酸(塩酸)が放出されるのを抑制します。

従来の胃酸分泌抑制薬として使われてきたH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)との決定的な違いは、プロトンポンプ阻害薬は胃酸を放出するプロトンポンプに対して直接作用する点です。より直接的に胃酸の分泌をコントロールできるので、確実に、強力に症状を改善することを可能にします。

プロトンポンプ阻害薬「ネキシウム」の特徴について

H2ブロッカーとの関係

H2ブロッカーはヒスタミン受容体からの信号をブロックして、胃酸の分泌を抑える作用をします。

プロトンポンプ阻害薬と作用機序が異なる胃酸分泌抑制薬として、H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)があります。
H2ブロッカーは、ヒスタミン受容体(H2受容体)からの信号をブロックして、胃酸の放出を抑える働きをします。

H2ブロッカーはプロトンポンプ阻害薬に比べて胃酸分泌抑制効果が弱く、服用開始後2~3週間ほどで効果が薄れてしまいます。夜間に効果が集中して、日中に弱まる傾向があります。このため、胃腸障害の治療には、第一選択肢としてプロトンポンプ阻害薬が使われることが多くなっています。

プロトンポンプ阻害薬の効果が夜間に弱まってしまう患者さんには、併用する形でH2ブロッカーが併せて処方されます。

プロトンポンプ阻害薬が健康保険適用で処方される期間は8週間までと決まっていますので、プロトンポンプ阻害薬を使用して8週以上経過した患者の場合は、9週目以降の治療にH2ブロッカーが用いられます。

プロトンポンプ阻害薬の一覧

最新薬のネキシウムをはじめ、
プロトンポンプ阻害薬には、いくつもの種類があります。

現在、国内で処方されているプロトンポンプ阻害薬は以下のとおりです。

薬品名製薬会社
成分:エソメプラゾール
ネキシウムアストラゼネカ/第一三共
成分:オメプラゾール
オメプラゾン田辺製薬
オメプラールアストラゼネカ
オメプラゾール共和薬品、鶴原、東和薬品、メディサ新薬、マイラン製薬、大正薬品、日医工、サンド、ニプロファーマ、シオノケミカル
オブランゼテバ製薬
オメプロトン沢井製薬
成分:ランソプラゾール
タケプロン武田
ランソプラゾール共和薬品、高田、東和薬品、大興、大洋、メディサ新薬、日本ジェネリック、シオノケミカル、沢井製薬、テバ製薬、日医工
タイプロトン大正薬品
タピゾールテバ製薬
ランソラール日医工
ランサップ武田
ランピオン武田
成分:ラベプラゾールナトリウム
パリエットエーザイ
ラベプラゾールナトリウム第一三共、大原薬品、明治製菓ファルマ、あすか製薬、日本ジェネリック、大正薬品、共和薬品、沢井製薬、東和薬品、ファイザー、マイラン製薬、陽進堂、キョーリンリメディオ、ビオメディクス、日新製薬、シー・エイチ・オー新薬、ニプロファーマ、日本ケミファ、サンド、ゼリア新薬工業
ラベキュアエーザイ
ラベファインエーザイ

 

ネキシウムに使用されている成分「エソメプラゾール」は、従来のプロトンポンプ阻害薬に使われていた成分(オメプラゾールやランソプラゾール)と比べて、効果に個人差がなく、誰にでも効くとして、病状を改善する効果・安定性において大きく改善されたプロトンポンプ阻害薬です。

今のところ、エソメプラゾールを使用しているプロトンポンプ阻害薬は、ネキシウムだけとなっています。

プロトンポンプ阻害薬「ネキシウム」の効果について