胃潰瘍の薬を学ぶ。胃を助ける3種類の効果とは?

2022年12月30日

胃潰瘍の治療薬について

胃潰瘍の薬引用画像

引用元:胃痛の対策|くすりと健康の情報局

胃潰瘍の薬は4つに分類されます。

胃潰瘍の治療薬は主に以下の4つ作用を持つ薬に分類されます。

  • 胃酸分泌抑制薬
  • 制酸薬
  • 粘膜保護薬
  • 粘液分泌促進薬

胃潰瘍は何らかの要因で粘膜の抵抗力が落ち、胃酸が胃を傷つけることで起きる疾患です。
ストレスや胃への刺激によって胃酸の分泌が増加すると更に粘膜を傷つけて、症状の悪化を招きます。
その為、胃潰瘍の薬は胃酸の分泌を抑えたり、刺激を弱める「攻撃因子抑制薬(胃酸分泌抑制薬・制酸薬)」と粘膜を保護し、防御機能を高める「防御因子増強薬(粘膜保護薬・粘液分泌促進薬)」が使用されます。
特に病院で処方されることの多い薬は最も効果を期待することができる「胃酸分泌抑制薬」です。

胃酸分泌抑制薬について

プロトンポンプ阻害薬の作用機序

胃酸の分泌を抑えて胃の負担を減らすための薬です。

胃酸分泌抑制薬は胃酸の分泌を抑えることで胃酸の総量を減らし、粘膜への刺激を減らして治癒を促す攻撃因子抑制薬です。

  • プロトンポンプ阻害薬
  • ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)

主に上記の胃酸分泌抑制薬が使われることが多いですが、この他にも

  • 選択的ムスカリン受容体拮抗薬
  • 抗コリン薬
  • 抗ガストリン薬

などの薬があります。

胃潰瘍の治療に最も使われているのは「プロトンポンプ阻害薬」です。
胃酸は胃の細胞壁にある複数の受容体からプロトンポンプ(胃酸を分泌する場所)に信号が送られることで分泌されています。

ヒスタミンH2受容体拮抗薬、抗コリン薬、抗ガストリン薬はそれぞれの受容体に対応しており、働きを邪魔することで信号の発信を邪魔して分泌を抑制します。
これに対し、プロトンポンプ阻害薬は胃酸の分泌を行うプロトンポンプ自体の働きを邪魔することで、どの信号が送られてきても分泌を防ぐことができます。
効果も長く維持されることから胃潰瘍の治療にはプロトンポンプ阻害薬が主に使われています。

制酸薬について

制酸薬引用画像

引用元:ガストール細粒・ガストール錠 | 製品情報 | ガストール【エスエス製薬】

胃酸を中和して粘膜への刺激を弱める薬です。

制酸薬は胃酸の性質を酸性から中性に近づけることで、粘膜への刺激を減らして治癒を促す攻撃因子抑制薬です。

胃酸は強い酸性を持っていますが、性質を変化させることで刺激を減らし、胸焼けなどの自覚症状が軽くなります。

即効性が高いので素早く効果を発揮しますが、効果時間が短いので他の薬と併用して使われることが多いです。

粘膜保護薬について

粘膜保護薬引用画像

引用元:「逆流性食道炎」の原因は? | 日本調剤(お客さま向け情報)

胃の粘膜を保護して治療を促進する薬です。

粘膜保護薬は患部の表面に張り付き、被膜を作ることで粘膜への刺激を減らす防御因子増強薬です。
服用後、患部のたんぱく質と結合し、防御機能を高めて患部の治癒を促進します。

単体での作用が攻撃因子抑制薬と比べて低い事、被膜を張ることで併用薬の吸収を妨げる事があるため、優先して選択されることは少ないです。
使用する場合は他の薬と併用するか、攻撃因子抑制薬での治療後、再発防止の為に使われています。

粘液分泌促進薬について

粘液分泌促進薬引用画像

引用元:ムコスタ(レバミピド)の作用機序:胃潰瘍治療薬

胃の粘液の分泌を促して抵抗力を高める薬です。

粘液分泌促進薬は胃を保護する粘液を増やすことで、粘膜への刺激を減らす防御因子増強薬です。
胃の粘膜は粘液によって保護されています。この粘液の分泌が低下することで胃酸への抵抗力が弱まり、胃潰瘍が発生します。

粘液分泌促進薬は何らかの要因で弱った粘液の分泌を促し、抵抗力を回復させる為の薬です。
その他にも、胃の粘膜の血行を促進する効果もあり、患部の修復力を高める効果もあります。

胃潰瘍の治療に抗菌薬が使用されることがあります。

ネキシウムのピロリ菌除菌イメージ

抗菌薬はピロリ菌の除去のために使われます。

胃潰瘍の治療に抗菌薬が使用されることがあります。
胃潰瘍はピロリ菌が原因で発生することが多くあり、ピロリ菌が原因の胃潰瘍は菌を除去しなければ治癒されません。
その為、ピロリ菌が原因の胃潰瘍は、胃酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を併用して治療を行います。
服用期間は約1週間で、成功率は約8割程度とされており、除去に失敗した場合はもう1週間続けて服用することができます。