胃酸過多とは
胃酸過多ってどんな疾患?
食べ物を消化するための胃酸が過剰に分泌されてしまう疾患です。
胃酸過多とは、何らかの原因によって胃腸内の胃酸が過度に分泌される状態を指します。
食べ物を消化する胃酸は非常に酸性が強いのですが、通常は粘液によって胃の粘膜が守られています。
胃酸が多量に分泌されたり粘液の分泌が減少してバランスが崩れると、胃酸が粘膜を傷つけてしまいます。
胃酸過多は胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎といった疾患に影響します。
胃酸過多の症状
胃もたれ、むかむか、胸焼け、膨張感、食欲不振などの症状が日常的に起こります。
胃酸過多の主な症状は以下のとおりです。
- 胃もたれやむかつきがする
- 胃が膨らんだような感じがする(胃部・腹部膨満感)
- 胸焼けや吐き気がする
- 食欲がなくなる
- げっぷが頻繁に起こる
- 胃液が逆流して口の中がすっぱくなる
- 胃液によって喉の奥に違和感がある
なお、胃液が頻繁に逆流する場合は逆流性食道炎の可能性が高いので、ネキシウム等のお薬を服用して適切な治療を行いましょう。
胃酸過多の薬
胃酸過多には、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬が効果的です。
胃酸過多に用いられる薬は「H2ブロッカー」がよく知られています。H2ブロッカーとは、胃酸の分泌に関係しているヒスタミンの受容体をブロックする事によって、胃酸の分泌を抑える作用をする薬です。市販されているH2ブロッカーは、ガスター10などがあり、種類も多く、ドラッグストアや薬局でも購入できます。
H2ブロッカーよりも格段に強力な胃酸分泌抑制効果がある薬として、プロトンポンプ阻害薬があります。
プロトンポンプ阻害薬の効果はとても強力で、H2ブロッカーでは治癒が難しい重度の胃酸過多に起因する逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍といった疾患には、最新のプロトンポンプ阻害薬「ネキシウム」が用いられます。
胃酸過多の原因
胃酸過多は、ストレスが原因となっている場合が非常に多いです。
胃酸過多の主な原因として、過度のストレスや食生活が考えられます。胃酸と胃の粘液は自律神経(交感神経・副交感神経)によって分泌のバランスが制御されています。
交感神経は日常生活で活動する際、精神神経系を活発にする働きがあります。運動をすると心拍数が上がって体温が上昇するのは、交感神経の作用によるものです。
副交感神経は、眠る時などに心拍数や興奮状態を沈める働きがあります。
昼間に交感神経がメインとなる反面、夜には副交感神経が優位になるわけです。
健全な状態では食後に副交感神経が働きかけて血流を促進し、胃の粘液を分泌させます。
食べたものを胃酸でうまく消化しながら、粘液によって胃の粘膜を守っているのです。
精神的なストレスが続いた状態になると逆に交感神経が常に緊張状態となります。
この時、自律神経が消化機能を強めようとして胃酸を多く分泌してしまいます。さらに、ストレスによって血管が収縮してしまい、胃の粘液が分泌されにくくなります。
この結果、胃酸過多が起こって逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍など様々な疾患を引き起こすのです。