胃潰瘍の症状を学ぶ。その腹痛はただの腹痛なのか?

2022年12月28日

胃潰瘍ってどんな状態?

胃潰瘍の症状引用画像

引用元:胃潰瘍 | 巣鴨駅前胃腸内科クリニック

胃酸によって胃の粘膜に穴が開いている状態です。

胃潰瘍は胃酸によって胃の粘膜が溶けて傷ついてしまう疾患です。
胃の粘膜の傷つき方によって名前が変わり、軽度の症状を「びらん」、重度の症状を「潰瘍」と呼びます。

普通、胃は胃酸に対する抵抗力を持っており、傷つくことはありません。
ですが、何らかの要因によって抵抗力が弱くなってしまうと粘膜が消化され、穴ができてしまいます。
このような仕組みで胃潰瘍は発生しています。
また、胃潰瘍と非常によく似た症状に「十二指腸潰瘍」と呼ばれる症状があります。

胃潰瘍の症状について

胃潰瘍の主な症状は複数挙げられます。

胃潰瘍の主な症状として以下の症状が挙げられます。

  • みぞおち付近の痛み。
  • 吐き気や嘔吐。
  • 吐血。
  • 赤黒い色の便が出る(タール便)

上記の症状は胃潰瘍の代表的な症状として知られています。

みぞおち付近の痛み。

みぞおち付近で起こる腹痛は胃潰瘍の最も代表的な症状と言えるでしょう。

胃潰瘍の自覚症状として患者のほとんどで確認されている症状で、鈍く痛んだり、焼けるような痛みを感じることが多いです。
主に食後に起きる症状で食前や空腹時はあまり感じることがない症状です。

吐き気や嘔吐。

吐き気や嘔吐は蠕動運動(ぜんどううんどう:食べ物が口から食道を通って胃に移動する動き。)が何らかの要因によって逆に動くことで起きています。

胃潰瘍は胃に炎症が起きている状態で、炎症の負担によって蠕動運動が逆に動き、吐き気や嘔吐を起こします。
その他にも、胃潰瘍が起きると胃液や胃酸の分泌が増えていることが多く、酸っぱさを感じるげっぷが起きることも多くなります。

吐血。

吐血が起きるのは胃潰瘍の悪化によるものです。

胃潰瘍が悪化することで胃の粘膜の傷が深くなり、血管を傷つけることで起きます。
胃潰瘍で吐血が起きるのはかなり重症化している可能性があります。
吐血が起きた時は可能な限りすぐに病院にで診断を受けましょう。

赤黒い色の便が出る(タール便)

赤黒い色の便が出る場合は胃潰瘍が重症化しています。
この赤黒い便はタール便と呼ばれる状態です。
胃の粘膜が深くまで傷つくと出血が起き、便と混ざって排出されます。
その為、タール便が出る状態は胃潰瘍が胃を深くまで傷つけていると考えられます。
また、タール便は胃がんなどの症状でもあるので注意が必要です。

胃潰瘍のその他の症状について。

胃潰瘍には上記の4つの症状以外にもいくつかの自覚症状が起こります。
胃潰瘍を早期発見するためにもこれらの症状にも注意しましょう。

  • 背中や腰が痛む。
  • 胸焼けが起こる。
  • 口臭が気になる。
  • 食欲が低下する。

胃潰瘍と「十二指腸潰瘍」はよく似た症状。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の症状には違いがほとんどありません。

胃潰瘍と非常に似た症状に「十二指腸潰瘍」と呼ばれる症状があります。
十二指腸潰瘍は胃潰瘍と同様な症状が起こることで知られており、2つの症状を合わせて「消化性潰瘍」と呼ぶこともあります。

  • 潰瘍の発生位置が違う。
  • みぞおち付近に発生する痛みのタイミングが違う。
  • 年齢による発生率の違い。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の症状には上記の3つの違いが挙げられます。

胃潰瘍が高齢の方の方が起きやすく、食後に痛みを感じるのに対し、十二指腸潰瘍は若い人に発生しやすく、空腹時に痛みを感じやすいなどの違いがあります。
どちらの症状でも発症したら治療が必要となります。
身体に異変を感じた時はすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

胃潰瘍が悪化するとどうなる?

胃潰瘍は悪化すると命の危険がある病気を引き起こします。

胃潰瘍を治療せず放置すると重症化し、胃に穴が開いてしまう「胃穿孔」や、肝臓・胃が入っている腹腔(ふくくう)と呼ばれる空間に細菌感染する「腹膜炎」を引き起こします。
胃穿孔や腹膜炎が起こると激しい痛みを伴い救急車を呼ぶ事態になることが多くあります。
ショック状態に陥ると命の危険もあり、早期の対処が必要となってきます。
命を守るためにも胃潰瘍を早期発見し、素早く治療するようにしましょう。

胃潰瘍が悪化しても胃がんのリスクはあがりません。

胃潰瘍が重症化すると胃がんになるリスクは高まるのか?という疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
結論から言うと胃潰瘍が重症化しても胃がんのリスクが上がることは基本的にありません。

胃潰瘍と胃がんは原因と発症場所が似ているため、関連があると考えられがちですが、胃潰瘍が重症化したからと言って胃がんが発症しやすくなるという事はありません。 ですが、自覚症状が非常に似ており、胃潰瘍だと思っていたのが実は胃がんでした。という事は多くあります。
胃潰瘍の症状が発生したときは決めつけて治療せず、先に検査を受けるようにしましょう。
また、胃潰瘍を治療しては再発させるなどの行為を繰り返して、粘膜の損傷が続くと患部が癌化することがあります。
胃潰瘍をしっかりと治療し、再発させないように気をつけましょう。

胃潰瘍

Posted by vsb1974