ネキシウムの特徴。個人差がなく、強力に胃酸を抑制
胃腸障害全般に効くネキシウムの特徴
強力な胃酸抑制効果があり、即効性に優れた最新のプロトンポンプ阻害薬です。
ネキシウムは2011年に国内で承認されたプロトンポンプ阻害薬です。胃腸障害全般に対して処方されているプロトンポンプ阻害薬の中で、比較的新しい薬となります。
ネキシウムの主成分であるエソメプラゾールは、従来のプロトンポンプ阻害薬に使われていた成分オメプラゾールとほぼ同じ作りの成分ですが、オメプラゾールよりも優れた治癒効果があるとされています。
治験の結果、87.3%の患者に対して治癒効果が認められました。
治験では、ネキシウムを飲んだ胃腸障害の患者189人のうち165人に病状を改善する効果がありました。(治癒率87.3%)
逆流性食道炎の維持療法においても高い再発抑制効果があり、従来のオメプラゾールの非再発率が83%だったのに対して、ネキシウムの逆流性食道炎の非再発率は92%という結果が得られました。
従来薬オメプラゾールとの違い
オメプラゾールには効果や副作用に個人差がありましたが、エソメプラゾールは個人差がなく、誰にでも効きます。
専門的な話になりますが、化学物質には鏡像異性体という物質があります。平面的な図にすると同じ構造になりますが、立体的には構造が違っている状態の物質を指します。
この鏡像異性体はR体とS体に分類されますが、物理的にこの鏡像異性体を分離させることは困難であるとされてきました。
オメプラゾールは鏡像異性体が分離せずにR体とS体が両方含まれています。これに対して、エソメプラゾール(ネキシウム)はR体を取り除いてS体のみで構成されています。
オメプラゾールのS体には高い胃酸分泌抑制効果があります。
オメプラゾールに含まれているS体は、R体に比べて胃酸分泌抑制作用が強力であり、効果や副作用に個人差が出にくい事が分かっています。これは代謝酵素が関係していると言われていますが、S体のみを抽出することにより、個人差を減らして効果を高めたのがエソメプラゾール(ネキシウム)です。
ネキシウムは、今までオメプラゾールで効果の出なかった患者に対しても高い治癒効果が期待できます。オメプラゾールで副作用に悩まされていた患者にとっては、治癒効果が高く、副作用が少ない薬として、ネキシウムが有力と考えられています。
また、これも代謝酵素によるものですが、オメプラゾールに比べて、エソメプラゾールは長く体内に残ります。ですので、薬の作用時間も長くなり、効果が持続するというメリットがあります。
これらを理由に、胃腸障害の治療薬をオメプラゾールからエソメプラゾールへ移行している患者が増えています。
ネキシウムの脱カプセルおよび懸濁用顆粒分包に関して
ネキシウムはカプセル剤や懸濁用顆粒として販売されています。
プロトンポンプ阻害薬は、主に錠剤として販売されている製品が多く見受けられます。その中でも、ネキシウムは飲みやすさに優れた薬となります。
重症の患者さんになると粉末にしなければ飲めなくなりますが、プロトンポンプ阻害薬の錠剤は腸溶性であるため粉砕不可となっています。その点、ネキシウムは脱カプセル(カプセルから外して飲む方法)が可能ですので、粉末での服用ができます。
ネキシウムには錠剤タイプのものもあり、こちらは通販で購入が可能となっています。
ネキシウム懸濁用顆粒分包が新たに追加
引用元:プロトンポンプ阻害剤「ネキシウム®懸濁用顆粒分包10mg・20mg」 発売のお知らせ
ネキシウムは2018年より新たに懸濁用顆粒分包が認可されました。
水に溶かして飲むタイプであり、脱カプセルをしなくても粉末として飲めるようになりました。脱カプセルした際の粉末は強い苦味がありますが、懸濁用顆粒では苦味が抑えられています。
重症の患者さんや飲み込む力が低下した高齢者でも飲みやすいタイプとなります。
ネキシウム懸濁用顆粒分包は通常のカプセルと同じく10mgと20mgの2タイプがあります。
水に溶かして飲む点を除いて、基本的な用法・用量は通常のカプセルと同じです。
参考資料: