2025年12月11日

ポジティブ・アクションとは？定義と日本の現状をわかりやすく解説

ジェンダー平等への道のりの中で重要な概念である「ポジティブ・アクション」。本記事ではその定義から、日本での取り組み・現状までを丁寧にわかりやすく説明します。ジェンダー平等や女性活躍推進について学びたい方におすすめの内容です。

ポジティブ・アクションとは？基本の定義

「ポジティブ・アクション」とは、社会的・構造的な差別によって不利益を受けている人へ、実質的な機会均等を実現するために積極的な措置を講じることを指します。たとえば、特定の集団の採用や参画機会を増やす取り組みがこれにあたります。日本では政策や法制度に基づいて様々な施策が進められています。詳細は公式サイトの解説ページをご覧ください：ポジティブ・アクションー定義と現状（日本）。

内閣府の定義

内閣府によると、ポジティブ・アクションは「社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対し、一定の範囲で特別の機会を提供することにより、実質的な機会均等を実現するための措置」と定義されています。この定義を理解することが、ポジティブ・アクション全体を把握する第一歩です。

ポジティブ・アクションの具体例と類型

ポジティブ・アクションには大きく分けて3つの類型があります。制度設計においてどのような手法が使われているのか、それぞれの特徴と例を見てみましょう。

① 穏健な女性支援策

ワーク・ライフ・バランス支援や女性応募者の奨励など、緩やかな支援策がこのタイプです。企業や自治体が主体となって、働きやすさを重視した制度設計が進められています。

② タイム・ゴール方式

一定期間内に目標値を定め、達成を目指す方式です。たとえば「2020年までに社会の指導的地位に占める女性割合を30％にする」といった具体的な数値目標が掲げられることがあります。こうしたアプローチもポジティブ・アクションの一種です。

③ クォータ制

最も強制力のある方法が「クォータ制」です。一定のポジションに特定割合の女性や少数者を割り当てる制度で、主に欧米で導入が進んでいます。日本でも議論は進んでいますが、憲法との整合性など検討すべき課題が多く残っています。

日本における現状と課題

日本では男女共同参画社会基本法や女性活躍推進法などの枠組みのもと、ポジティブ・アクションに基づいた施策が進められています。特に国家公務員の採用や企業の女性登用目標設定が進み、一定の成果も見られます。

政治・経済・意思決定の場での不均衡

一方で、国会議員・地方議員に占める女性割合は依然として低く、政治的意思決定の領域でジェンダー不平等が続いています。こうした分野でのポジティブ・アクションの導入は、今後の大きな課題です。

企業における女性役員の比率

企業経営層における女性比率も低く、特に役員レベルでは世界平均と比較して大きな差があると指摘されています。この状況を改善するためには、支援制度の充実と意識改革が不可欠です。

ポジティブ・アクションの重要性

ポジティブ・アクションの目的は単なる数値の達成ではなく、制度的・文化的なジェンダー不平等を根本から是正することにあります。多様な人材が活躍できる社会の実現は、SDGs（持続可能な開発目標）にも大きく寄与します。ジェンダー平等の達成には、国や企業だけでなく一人ひとりの理解と行動が欠かせません。