第7回JACR近畿地方会を総括:オンライン開催で広がる心臓リハビリの未来

第7回日本心臓リハビリテーション学会 近畿地方会 レポート

2022年2月11日(金)、第7回日本心臓リハビリテーション学会近畿地方会(JACR近畿地方会)がオンライン形式で開催され、約500名を超える参加登録者とともに盛会のうちに終了しました。本記事では、開催概要、目的、主要プログラム、そして学会の意義について網羅的にご紹介します。

開催概要と背景

この会議は、心疾患患者や心臓リハビリテーションに関わる医療従事者が一堂に会し、知見交換と情報共有を行う場として設けられました。今回のテーマは 「ともによく生きる」。これは、病を患う人(patient)も、その治療やケアを提供する医療者(person)も、お互いに尊厳と希望を大切にしながら「共に生きる」ことを目指すという願いが込められています。

当初は京都で現地開催が予定されていましたが、COVID-19の感染状況を踏まえ、完全オンラインでの実施となりました。そのため、遠方の参加者も参加しやすく、多くの医療従事者にとってアクセスのハードルが下がったことも特徴です。

主なプログラム内容

当日のプログラムは多岐にわたり、教育講演、シンポジウム、特別企画、一般演題、パネルディスカッションなど、多面的な構成となっていました。

教育講演とシンポジウム

  • 心血管疾患における栄養療法についての講演
  • 心臓リハビリテーション中の漢方医学と西洋医学のアプローチ比較講演
  • 構造的心疾患(SHD)に対する心臓リハビリテーション:TAVI、MitraClip、VAD手術後の最新治療とリハビリの現状
  • 高齢化社会における心臓リハビリテーションの意義と展望についての講演

特別企画とパネルディスカッション

  • HIIT(高強度インターバルトレーニング)の概論と心臓リハビリへの応用可能性
  • COVID-19流行下での心臓リハビリ継続・再開方法、現場の感染対策に関する報告
  • 在宅医療・地域連携・退院支援・多職種協働による心不全ケアの今後を議論するパネルディスカッション

学会の成果と意義

本学会には500名を超える参加者が登録し、多くの発表や討論が行われたことで、心臓リハビリテーションの最新知見と現場での実践が共有されました。

特に「ともによく生きる」というテーマは、医学的治療技術だけでなく、患者の生活の質(QOL)、社会的背景、心理・栄養・運動を含めた包括的ケアの重要性を改めて示すものでした。超高齢化社会や多疾患併存患者が増える現代において、この視点はますます重要性を増しています。

また、オンライン開催形式を採用したことで、多様な医療従事者に知見が広がり、ネットワーク形成の促進や今後の医療体制の刷新にもつながる可能性が示されました。

今後への期待と展望

心臓リハビリテーションは、従来の運動療法だけでなく、栄養、メンタルヘルス、地域支援、在宅医療、多職種連携などを含む「包括的ケア」が求められる時代に入っています。今後は、医療の枠を超えた支援体制がますます重要となります。

今回の学会で共有された知見や議論は、臨床現場だけでなく政策や制度面にも影響を及ぼす可能性があります。こうした学会活動の積み重ねと、それを日々の現場に反映する実践の継続が期待されます。

詳細を知りたい方は、第7回日本心臓リハビリテーション学会近畿地方会 公式ページ をご覧ください。